第566回 他社比という概念・高値の新築マンション

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ときどき「安いマンションをどのようにして見つけたらいいのでしょうか?」と問われます。しかし、安い新築マンションは仮に希望エリアの中にあったとしても、安い物件は安いなりに問題点があるもので、中々ズバリのお答えはできないのです。

ときどき「ちょっとした掘り出し物を見つけたような気がします」というお便りをいただくこともあって、他人の筆者にも心温まる瞬間が訪れることがありますが、滅多にないことです。

「良いものは高く、安いものは物件価値にいささか問題あり。結局、どれも似たような価格で販売されている」というのが実態です。そのことを踏まえながらマンション探しをすることが、結局は早道です。最後は購入者の好みや感性によって選しかないのかもしれません。

物件価値と価格の釣り合いを検証しながら比較して行くと、どれも大差がない。平たく言えば、どれも高い。その理由を理解していただくために、今日は新築マンションの価格の成り立ちについてお話ししようと思います。

●似たり寄ったりで決め手に欠ける

新築マンション価格は、【土地代+建築費+販売経費+利益】という構造になっていますが、互いに競争し合うデベロッパーは、何をもって差別化を図り販売促進を図ろうとしているのでしょうか? 

スケールの差ですか、間取りの違いですか、設備・仕様の違いですか、それとも共用施設の差ですか、デザインの差でしょうか?

同じ地域で、同時期に売り出しても、物件ごとに価格差が着くのは事実です。しかし、同じ地域と言っても、片方は駅から2分か3分、他方は駅から徒歩10分といった立地条件の差があるものですし、それが価格差となっています。

駅からの距離は同じでも、設備・仕様や間取りや共用施設などの違いがあったりするので、物件価値がその価格とマッチしているかは微妙ケースもあります。

住戸ごとの細部の比較を別にすると、右を向いても左を向いても同じような間取りで、設備・仕様も大差なく、デザインでも大きな差はなく、文字通り五十歩百歩。決め手に欠けるのが実態です。

つまり、どちらも一長一短があり、甲乙つけがたいのが現実です。譬えは適切でないかもしれませんが、スマートホンの機能はauもソフトバンクもdocomoも大差ないのと同じようなものです。

●規模と立地で勝負あり

デベロッパーから見たとき、差別化を図ろうにも最初から諦めざるを得ないのが「規模」と「立地」です。

同一エリアの(最寄り駅を同じにする)マンションでも、圧倒的な規模(高さ・戸数)を誇るという場合、たとえば唯一の超高層マンションであるとか、500戸以上の規模を誇り、敷地内ガーデンやキッズルーム・ゲストルーム・コミュニティルーム・カフェラウンジといった施設がふんだんに用意されているうえに24時間有人管理とコンシェルジュによる各種サービス付きなどと、いわゆる付加価値が豊富なマンションは中小型マンションに建物価値では大差をつけることが可能です。

立地についても、傘なしで玄関まで行ける駅直結型マンションは同じ駅に二つはないので、圧倒的な差別化をもたらすはずです。

マンション事業の成否は、条件が良いにしても悪いにしても、土地を取得した段階で決まってしまうと言われます。いかに良い立地条件の土地が取得できるか、いかに大きな規模の土地が買えるかで結果は見通せてしまうのです。

駅の近くに仕入れられても、それが徒歩5分というだけなら特別なものとは言えませんが、5000㎡の土地を取得できれば別です。1000㎡の土地では、500戸の建物は建てられませんし、30階建ての超高層マンションにもならないので、そこで勝負が決まってしまうのです。

もちろん、条件の良い土地は買収価格が高いことも事実です。しかし、規模が大きければ建築費が安くなる場合が多く、また圧倒的に条件の良い土地であれば高くても売れるものです。たまに見られる「優良物件だけど、いくら何でも高過ぎる」と評される、かけ離れた高値にさえしなければ買い手は集まってきます。

●ありきたりの土地条件で差をつけることは至難の業

このような圧倒的な差別化が図れる物件を買開発できればいいですが、多くを占める中規模以下のスケール、駅からの距離も「遠からず近からず」のありきたりの物件同士の競争では何が決め手になるのでしょうか?

差別化策、すなわち商品企画は簡単でないのですが、デベロッパーの力量は精鋭が揃っているかどうかで決まってくるようです。と言っても、大きな差ができるケースは少ないものです。

各社それぞれに知恵を絞りますが、ふたを開けると似たり寄ったりのマンションになるのです。「他社比」という概念がありますが、差別化とは少なくとも他社に負けないことでもあるのです。

中小規模のマンションの場合、細部を比較していくと一長一短があって決め手になるほどの差別化を創り出している事例には中々お目にかかれません。

最後は価格の安さでアピールするしかないのですが、実はこれも難しいのが現実です。

何故なら、他社より安く土地を仕入れることも他社より安く建設することも難しいからです。「あんたの会社にだけ特別安く売ってあげる」などという奇特な地主さんはいませんし、「貴社だけ特別に安く建ててあげましょう」という施工会社も存在しません。

地主は、少しでも高く売りたいと望みます。仲介業者は卑近な売買事例を持ち出して地主に提示するので、条件の差で多少の増減はあっても、格安に買うことは難しいのです。マンション用地を探しているデベロッパーは結局、他社並みの価格で買うのが精いっぱいとなり、安く買収することはできません。

デベロッパーの中には、崖地やバス便など条件の悪い土地を無競争で安く買収することを方針にしている企業もあります。

そのエリア内に同タイプの物件がなければ安値の物件が誕生し、それが成功をもたらしている場合もあるようですが、多くは競争によって用地の買収価格は高くなり、工夫された(差別化を図ったつもりの)建物も、その価格を超える価値を創り出すまでに至らず、結局は互いに足の引っ張り合いをしながら共倒れになって苦労しています。

マーケッティングの基本は、自社の製品だけが売れるようにすることですが、マンションは似たり寄ったりの企画となってしまうのが実態です。価格も滅多に差別感(割安感)を打ち出せず、「あちら立てればこちらが立たず」と、買い手を惑わすことになるのです。

では、買い手は何を優先して選べばいいのでしょうか? 何を決め手にして選ぶのが正しいのですか?この物件を選択しても大丈夫ですか?この答えは筆舌に尽くしがたく、抽象論で片づけるわけには行きません。

ここに筆者の使命があると考えています。こんな疑問・ご心配に個別にお答えするのが筆者の仕事です。

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