第589回 新築・中古マンション市場動向

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買いたい人が多数あるのに、買える物件がない。数はあるが高いものばかりで予算が届かないために買えない人が多い。このような状況を早く脱して欲しいと願いながら毎月のデータ発表を注視している筆者ですが、良い情報は中々お届けできません。

ともあれ、今月は中古マンションも加えて解説しようと思います。

【新築マンション】

●発売戸数は停滞

1~10月:26,052戸と月平均で2600戸余、このままのペースなら年間31,000戸か32,000戸と昨年を下回ることになりそうですが、最近は11~12月に大量の発売を行う傾向があるので、仮に前年並みの9700戸が一気に売り出されれば約37,000戸となり、2016年(35,772戸)を上回るのですが、果たしてどうでしょうか?

どちらにしても、2013年の56,478戸、2014年の44,913戸、2015年の40,449戸には届きません。売り出し戸数は停滞が続いています。

●売れ行き低迷

2017年1月以降の初月契約率を見ると、1月:61.6%、2月:68.4%、3月:66.2%、4月:66.3%、5月:72.2%、6月:67.2%、7月:71.9%、8月:68.2%、9月:64.9%、10月:60.7%(23区は68.3%)と5月を除いて60%台が続いています。

好調・不調の分岐点70%を下回るペースが昨年からずっと続いているのです。売れないので発売戸数を絞らざるを得ません。着工している100戸のマンションを売れそうな数の30戸だけ売り出すという「分割販売」を強いられているとも言えます。
好調時でも分割して販売するのが慣習ですが、その回数が好調時は50戸、50戸のように2回なのに、今は5回も6回にも、小刻み(小出し)になっています。少し大型のマンションになると、10回を超えるものも珍しくない現況にあるのです。

1期5次発売とかになっていれば6回目の売り出しを意味します。この「期」と「次」の数字が大きいほど販売は順調でないことを指しています。

1回当たりの戸数を絞るのも、売れないという予測が前提にあるためです。売り手の期待は、100戸売り出して80戸くらい売りたいのですが、70戸も売れないという状況が続いているわけです。売れ残りマンションとして市場で棚ざらしになることを恐れての「分割販売策」ですが、予想(期待)下回っているということです。

1回当たりの売り出し戸数が3戸とか5戸といった少数のケースも多々見られる最近は、買い手から見て、慌てなくとも購入できることを示唆するものですし、売れ行きの悪い物件は「悪くはないが価格が高い」と見なされているものが多いと見るべきなのです。

●価格動向は?

売れ行きが悪くても価格はたやすく下がらないものです。

2017年1~6月の平均は@280.5万円でしたが、前年同月を下回ったのは5月のみ(▲0.9%)でした。結局前年同期比で4.0%のプラスだったのです。

7~10月も、7月:18.1%アップ、8月:9.1%アップ、9月:4.4%アップ、10月:2.3%アップと前年同月比プラスが続いています。

販売が不調なのになぜ値下がりしないのでしょうか? 新築マンションは土地を何年か前に取得しているわけですし、建築費も着工の前には確定しているので値下げしたくても下げられないという事情があるからです。

もっと言えば、そもそも利幅が小さいので、下げるにしても余裕がないというわけです。売り出し前から赤字覚悟で販売に踏み切ることはありませんし、一定の採算利益を確保して価格を決め、販売促進策を講じてチャレンジするのです。

しかし、相当な販売努力をしたにも関わらず売れないとなれば、仕方なく値引きしてでも資金回収を図ろうとします。それは、建物の竣工に近い段階以降というのが常識です。

スーパーマーケットで夕方、生鮮食品が値引き販売するようなものです。ただし、値引きの限度は5%程度、最大10%が目安です。20%も下げる例も稀に見ますが、ほぼ投げ売りですから、ひどい条件のマンションと思った方が良いのです。もしくは、そもそも異常に高い物件なので20%下げても適正な価格かは疑問なのです。

上記のデータは「不動産経済研究所」というマンション業界の出資でできた調査会社がもう何十年も前から継続調査して毎月プレス発表しているものですが、定価データであって、値引きの実態は全く反映されていません。

もし、大半の物件が値引き販売に踏み切れば価格データも前年同期比プラスがマイナスに転じるかもしれません。しかし、その幅は僅かです。なぜなら、好調物件もあるわけですし、少なくとも新規物件の第1次は値引きしないからです。

【中古マンション】

●在庫件数(REINS登録件数)

10月の流通在庫:44,619戸(前年同月42,819戸)となりました。ご存知ない方もあるかもしれませんが、売り希望者が仲介業者と「媒介契約」を結び、売却の依頼をしたら、業者は5日以内に業界の情報ネットワーク(REINS)に売却物件情報を登録しなければならないことになっています。

もし、手持ちの顧客リストから短時日に契約になれば未登録のままで市場から消えてしまうことがないわけではないものの、100%近くが登録されます。その数が10月時点で前年同月を5%上回ったというのが、上記のデータです。

数だけなら、新築の発売戸数、月平均2600戸(1~10月)に前月までの売れ残り分(省略)約7000戸をプラスして10,000戸に比べ、中古は4倍以上も売り物が市場にあることになるのです。

●成約戸数

1~10月:31,414戸(前年同期:31,211戸)。売れ行きは前年に比べて増えても減ってもいないことを数字は物語っています。中古市場は全体として順調に推移していると言えます。

新築が高く、品数(発売戸数)も少ないので、中古に目が行く状況が続いているのでしょう。

●価格動向

23区は2012年10月から61か月連続で前年同月を上回ったようです。多摩エリアは横ばいとなっています。
神奈川県も横浜市・川崎市に限ると2016年6月から17か月連続で前年同月を上回るという値上がり傾向が続いています。逆に両市以外の神奈川県は下落傾向を見せています。
埼玉県の10月は前年比3.6%下落し、23か月ぶりに前年同月を下回ったようです。千葉県はほぼ横ばいです。

神奈川県、埼玉県、千葉県とも、下落傾向を見せ始めたようですが、23区は新築もそうなのですが、相変わらず「高値」が続いているのです。価格が上がっても順調な取引状況が続いていると言えるようです。

・・・・今日はここまでです。ご購読ありがとうございました。ご質問・ご相談は「無料相談」のできる三井健太のマンション相談室(http://www.syuppanservice.com)までお気軽にどうぞ。

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