第592回 「中古も視野に入れるべきという根拠」

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2013年秋から筆者は繰り返して「中古マンションも視野に入れましょう」と言い続けてきました。しかし、ご相談者に限って言えば、中古物件より新築志向の人が多いのか、単に筆者の広報が足りないのかは不明ですが、最近も新築のご相談・お問い合わせが圧倒しています。

価格の高騰によって、新築に手が届きにくくなってしまい、中古も検討し始めたという人も増えた感じはありますが、中古の取引数が大きく伸びているというデータもないのです。新築の契約戸数が減少していることと比較すれば、中古の取引は活発で、成約件数も減っていないので、想定的には中古へ目を向ける人が増えていることは間違いないようですが。

今日は、なぜ中古に目を目けるべきかという根拠についてお話ししようと思います。

①新築マンションの供給戸数がひと頃の半分に減ってしまったから

いくら欲しくても店頭に品物が置いていなければ買い物はできないのです。数があるようでも、実はひと頃の半分に、23区は60%に減ってしまったのですから、目指す品はなく手ぶらで帰ってくるしかありません。
今は、そんな状況にあるのです。昨年は35,000台、今年も今のところ昨年並みしか品数は揃っていません。これに対し、買いたい人は少なくとも45000人はあります。昨年も、一昨年も買えなかった人が大量にあるので、ひょっとすると5万~6万もあるかもしれないのです。

②新築価格が恐ろしく高いから

新築マンションの価格は、「メーカー希望小売価格」のようなものです。売れるかどうか分からないが原価と経費がかかった分は少なくとも回収したいから、この価格で売りたい。これがマンションの売り手希望額、言い換えれば購買力を無視した一方的な価格設定というわけです。

小売りの世界では、値上げはたちまち買い控えの態度に変わるので値上げを我慢すると聞きます。逆に値下げして買い手の支持を受ける例も少なくありません。その結果、売上個数が増えて全体の売り上げが伸びるということもあるわけです。

マンションでも安くして売り上げが上がったらいいのですが、売れる数が決まっているので、安くしたら赤字にないなることも多いのです。もともとの利益幅が小さいのからです。
消費財では、「円高の影響で原材料費が高騰し・・・。値上げにご理解を」などと言い訳しながら値上げに踏み切るわけですが、マンションは二つとして同じ品物がないこともあり、「建築費が上がったので値上げすることをお許しください」うあ「昨今、地価高騰が続いておりますので・・・」という言い訳は全くなしに、一方的に価格を決めて販売を始めるものです。

こうして発表された「定価」を受け入れて買うしかないのが新築マンションの世界です。無論、売れ残ったら値引き販売はありますし、安く買いたい人は売れ残りを待てばいいわけです。ところが、マンションは全て一品ものなので、買いたい品が長く残るという保証もないので、値引き販売の時機を逸することになりかねません。

こうして、原材料費(土地代+建築費)が上がったために高騰した価格の品を渋々受け入れて買うしかないのです。

高くても買える人もありますが、一定の金額を超えたら手が出ない人もあるわけです。2012年を100としたとき、現在の新築価格は130くらいになっているのです。地域限定になる住まいという特殊な商品だけに、ある地域はそれまでの相場の50%も高いものしか売っていないこともあり、気に入った物件が予算の範囲では見つからないという実情に今はあるのです。

③市場が適正と判断した価格で売られるのが中古

新築のマンション価格は、メーカー(分譲主)希望価格ということでしたが、中古の場合は一方的な希望価格は通用しません。売主は、多くが一般個人です。個人は、仲介業者によるナビゲーションを経て売値を決める流れになっています。

仲介業者の世話になりながら市場に我が家を出品するのです。この習慣が定着し、その時々で変動はしつつも、市場価格が自然に出来上がっています。いくらで買ったか、いくらのローンを使い、その金利をいくら払ったかなどという、いわば売主の原価は一切考慮されずに価格は決まるのです。

査定は、このマンションならいくらで売れそうですという査定によって価格は導かれます。売主にとって気に入らない価格であっても、ONできる幅はせいぜい5%です。それも買い手からの値引き交渉の結果消えてしまうものです。新築のように、「これが定価だ。定価で買って下さい」が通用するのは例外的です。

ここまでを整理すると、「売れなくても下げない新築」、「市場の圧力で下がりやすい中古」という差異があるのです。言い換えると、価格の硬直性が高い新築、価格に柔軟性のある中古ということになりますね。

④新築は売主に肩入れするが中古は買主に味方する営業マン

新築の営業マンは、売主の代理人のようなものです。価格交渉が来ても、売主(会社)の命で利害が対立する買い手の要求には耳を貸さないものです。売れ残ってしまったときは、会社も販売策進のためには値引きもやむを得ないので、今日からは相談に乗ろうとか、5%までは許可しようなどと新命令を下すので、それまでは価格の交渉は一切できない。頑として「申し訳ありません」と言うだけです。

これに対し、中古の営業マンは自社物でない全国の販売物件(中古)を扱える立場にありますし、売主さんの顔も知らないというケースが多いのです。見知っているのは買主さんだけで、その要望を聞かないと買ってくれないことを承知しています。従って、買主が10%引いてと言えば、「相手のあることなのでやってみないと分かりませんが」と前置きしながらも買主の意向にそって動いてくれます。

仲介業者の売り上げは手数料なので、5000万円の取引では150万円(正確には156万円×消費税)ですが、4500万円になっても135万円となり、僅かに減るだけです。もし、値引き交渉を受け付けずにいたら売り上げはゼロかもしれないのです。だから、売主さんの取り分を減らしても買主のために動くものです。

⑤発想を転換すると予算を1000万円も下げることが可能になるのが中古

マンション探しは地域的な限定が伴います。いくら安くて広く素晴らしい建物であっても、通勤圏外には買えません。多少の幅はあるにしても、場所はある程度フィックスされます。

その地域内には流通量の多い・少ないの差があるものの、様々な物件が紹介されています。しかし、検索条件を絞り過ぎるとメガネにかなう物件は出て来ません。そこで発想を変えます。特に、広さと築年数・階などを無視して探してみるのです。
例えば、出て来た物件が2LDKの60㎡だとします、それまでは70㎡の3LDKが条件だったので、きっと「見送り」の結論を下すことでしょう。そこで「待てよ。これを買ったらどうなるのか?どんな問題があるのか」と考えてみるのです。
同様に、築30年が出て来たとします。従前は「築浅」と決めていたので「古過ぎる」と見送りを決めることでしょうが、「待てよ。30年マンションってどうなの?買ったとして問題は何?」と考えてみるのです。

このような発想を大胆にしてみると、その結果1000万円も予算が浮いたという事例が生まれました。選択肢は広がって、ある人などは、ご相談の日から2週間で契約に漕ぎつけたのです。

⑥新築は広さと立地の妥協が必要

これに対し、新築は検討物件の中で広さを妥協すれば購入を実現できますが、そもそも高くて予算とのギャップがあるというスタートなので、狭い部屋に変えたところで、予算が余ることはないのです。
としたら、購入の実現のためには希望しないエリアに行くほかないのです。駅からバスに乗るか、それが嫌なら沿線を変える、方角を返るしかありません。その結果、広さだけは妥協しなくても良い場合があるかもしれません。

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いかがでしたか。新築にこだわると高い壁も中古に転じれば選択肢は広がると思いませんか? どちらで行くにしても、決断に至るまでは問題点。不安などがつきものです。そんなときこそ、筆者の2大サービスをご利用いただきたいと思います。

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