第616回 自分で調べるより専門家に聞いた方が早い

このブログは5日おき(5、10、15・・・)の更新です。

 

マンションの価値を評価するというのは、実際にやってみると一筋縄ではいかないものです。筆者は、ほぼ日課としてこの作業を行っていますが、始めたばかりの頃は首をひねることもよくありました。

 

まして、「10年後の価格を予測」するなどという大胆不敵なサービスなど以前は到底考えられませんでした。以下に示す一例のように、様々な要素・条件が複雑に絡むからです。

 

「駅に近いし、その割には静か。ブランドマンションであるし、建物内容もブランドらしい内容を備えているが、南側は隣地のビルの高い壁が迫っているので、北向きの部屋を買おうと思う。ただ、間取りは決して良いとは言えない。敷地が狭いためか、内廊下は窮屈な印象である。エントランスは2階までの吹き抜けになっていて豪華な印象。でも広くないし、救いは検討階の3階の価格が安いことかと思う。でも、この立地で3階はどうなの?そもそも〇〇駅ってどう評価すべきなのか?」などです。

 

ほとんどのマンションが「あちら立てればこちらが立たず」です。これらの要素・条件を整理し、適切に現在価値または将来価値を判定するのは容易なことではありません。

 

しかし、その答えを求めているマンション購入者がたくさんあるのは事実です。そう思って始めた仕事ですが、市場は動きます。関連する経済変動、金融情勢、人口や世帯の動向、供給動向、販売状況など、多数のファクターに目を通しながら頭をフル回転させるとともに、市場と物件の立地・プラン等の調査をして数十ページのレポートが完成します。

 

レポートを作成するわけではないものの、これらの作業を購入者自身の手で行い、答えを導くというのは、多忙な仕事の合間を縫ってのことゆえに極めて難しいことと推測します。

 

おかげさまでというべきか、筆者はマンション評価だけでも累計3100件以上のレポートを作って来ましたが、レポートをお届けした後の感想は、「全く気付かなった視点」「目からうろこが落ちた」「あばたも笑窪に見えていただけと気付いた」「安いと思っていたが、そうではないと悟った」「心配だったことが全て明らかになった」「これで自信をもって前に進めそうだ」といったものです。こうしたメールをいただくことで、筆者の生きがい・作業のやりがいは大きく、今後とも、お気軽にご依頼いただければと願います。

 

レポートをご依頼の方の中には、後日お会いしてのご相談を望まれるケースも少なくないのですが、直接の会話によって買い手の深い悩みを知ることとなります。メールのご相談だけでは文章の巧拙もあるのか、文章にしがたいのか、真意がよく伝って来ないからです。

 

「購入をしても大丈夫な物件かどうか」にお答えするのは簡単ですが、深層に隠れているのは、「さんざん探してきた中で選んだ物件だが、本当にここで決めてよいのだろうか?もっと良いものがあるのではないか」という点です。

 

お会いして分かるのは、選ぶべき対象と違うものを選んでいたり、見当違いの悩みを抱えていたりすることです。言い換えると、目標までの寄り道が多すぎたり、回り道が過ぎたりすることです。もやがかかったような状態と表現する方もいらっしゃいました。

 

無駄も、寄り道や回り道も不要とは思いませんが、北海道に行くのに沖縄を経由したり、直行便がない外国に行くときトランジットを誤って全く別の国に着いてしまったりというような失敗を何度も繰り返してきたらしい人も少なくないのです。

 

また、営業マンの欺瞞や詭弁に気付かず、鵜呑みにしていた人もありました。セールス誘導(クロージングテクニック)にはまってしまったことや、無知だったことを後悔する人もありました。

 

モノの選び方・買い方には、店頭に並んだものに触れたり、臭いをかいでみたり、前から見たり後ろに回ったりして眺め、試しに動かすとか食品なら試供品を口にする、衣類なら試着したりしながら、サイズを確認したりするわけです。

 

マンションについて言えば、新築ならモデルルームを見学し、中古なら実際の売りものを内覧して良い品かどうかを確かめるわけです。建設地を見て、駅までのルートを確認し、共用部・外観の姿を見て、管理状態をチェックして「買いたい・ここに住みたい」と感じたら購入の方向へ歩を進めるのでしょう。

 

しかし、宝飾品もそうであるように一つ一つが異なるマンションの価値判断は難しいところがあります。 宝飾品に縁が薄い筆者にはよく分かりませんが、似たようなものでも2倍くらいの価格差があると聞いたことがあります。素人の買い手にとって、高いものを買ったとしても、それに気づかないことも多いのでしょうし、仮に高いと知っても、それを身に着けている自分が輝いて見えれば満足なのでしょう。

 

マンションも同じで、そこに何年か住んで家族が満足できるのなら高い物件を掴まされても悔いはないはずです。

 

ところが、宝石とマンションの大きな違いは価格です。一般人にとってマンションは宝石の何倍もすること、そして何より買い替える可能性が高いことです。そのときに大きな損失が発生することはないか、売るに売れないということになりはしないかなどを必ず心配します。

 

つまり、宝石のようにコレクションとするわけではないので、仮に一生に何度か購入する機会があったとして、一般人がコレクションできる数は二つがせいぜいですから、それ以上は換金処分が必須となります。それだけに、資産価値(売却価格)を気にする人は多いのです。

 

それゆえに、価値あるものを選ぼうとして一生懸命勉強するのです。書物にせよ、ブログの購読にせよ、知識を習得し、中には玄人はだしの知見を身にまとってしまう人もいます。

 

しかし、そうなるにはおそらく仕事も犠牲にするくらいの時間をかけているに違いありません。「特定マンションの資産価値が高いか低いか、その価格が高いか相場か」くらいの判断をするための知識なら割合簡単に習得できますが、将来の価値を予想するまでをテーマにするとなると、極めて難しいことです。

 

現状価値の判断ですら的確にできない人も多いので、営業マンの一面的なセールストークと誘導に負けてしまい、後悔する人も多いのです。しかも、後悔の時期は、契約前後、引き渡し前後、引き渡しから数年後~10年後と幅が広いのです。

 

勉強しなければならないことは山ほどあります。知れば知るほど奥が深く、1年や2年では無理です。歴史的な経過も知らなければなりませんし、人口構造、人口の社会移動、産業構造、景気変動、建設業界と不動産業界の歴史的背景と構造、過去・現在の企業行動、不動産・マンションの市場動向、空き家問題、地価の動向などを把握することも必要になります。

 

こうした情報やデータを駆使して見解をまとめて行くのは、時間が膨大にかかります。

 

その答えを系統的に書いた書物もありません。大学には「不動産学」という講座や学科もありますが、それは資産価値のあるマンションの選び方などというものでは無論ないはずです。結局、様々な知識・情報を集めながら整理して自分なりの理論を構築して行くしかないのです。

 

筆者も、長年かけて得た知識と研究の成果があって「マンション評価サービス」及び「将来価格の予測サービスが提供できるようになったのです。しかも、市場は少しずつ動いていきますし、社会も変わります。そうした変化もにらみながらマクロ的、かつミクロ的に対象物件の現在価値、将来価値に関して、可能な限り適切な見解をまとめる毎日です。

 

ひとつひとつが違う顔を持ったマンション。人間に例えると、素性の良い人、得体の知れない人、背の高い人、力士のような人、やせた人、若々しいひと、いぶし銀のような人、地味な人、派手な人、上品な人、引っ込み思案な人、病気を抱えた人、健康な人などとなります。

 

顔だけでなく建っている場所も違うので、組みあわせると膨大なタイプに区分されます。これら異なるマンション一つ一つに「宝石の鑑定書のようなもの」を発行するというのは至難の業とも言えます。

 

公的な鑑定(判定)機関も存在しません。仕方なく、買い手の皆さんは自己鑑定に頼ることになります。しかし、自己鑑定は危険とも言えます。何故なら生半可な知識・研究では自信を持てる鑑定はできないはずと考えるからです。

 

責任ある仕事を持つ夫、家事と育児に追われる妻、しかも共稼ぎ。多忙な現代人にとって賢明な方法は専門家に聞いた方が早いのです。住宅関連のブログを書いている人たちは、それぞれ程度の差はあっても蓄積した知見が素人よりは多いでしょうし、営業マンも専門家のひとりと言えます。

 

こうした人たちに聞いてしまった方が早いと筆者は思います。間違った知識や勉強不足という人もあるので、一人に全て依存するのも危険ですが、これはと思う人が見つかれば二人に聞くのがコツかもしれません。

 

というのも、ある物件で、某氏と筆者の考え・評価は全く正反対だったからです。 筆者は少し辛い評価なのかもしれないと自己分析していますが、ほめちぎる某氏購入は踏みとどまるべきという筆者ではあまりにも違い過ぎます。

 

筆者は、別のブログ(三井健太の住みたいマンション)で特定物件の解説をすることもありますが、筆者がダメと思う物件、言い換えると資産価値的にお勧めしがたい物件は酷評することになってしまうので、ブログでは紹介しないと決めています。つまり、自分なりの掲載基準を設けて、基準に合わない要素が多いものは公開しないのです。

 

筆者は無論ですが、どなたに評価を尋ねる(意見を聞く)にしても、具体的な検討物件があれば、ずばり買いかどうか、②将来価格はどうかの2点を質問するといいですね。派生的なことで心配なことがあれば、それも付け加えたらいいでしょう。

 

・・・・・今日はここまでです。ご購読ありがとうございました。ご質問・ご相談は「無料相談」のできる三井健太のマンション相談室(http://www.syuppanservice.com)までお気軽にどうぞ。

 

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