第652回 「文句なしの好物件。大急ぎで」と助言した中古物件に「内見なしでも買いたい人」が現れて

このブログは居住性や好みの問題、個人的な事情を度外視し、原則として資産性の観点から「マンションの資産価値論を展開しております。

5日おき(5、10、15・・・)の更新です。

 

都区内のある中古マンション。ブランドマンションですが、築18年を経過している。駅に近い(徒歩2分)という以外に特別な付加価値がある物件とは言えない。14階建て、60戸強の、さほど大きな建物でもない。しかし、売り物が滅多に出て来ない人気マンションでした。

 

付加価値として挙げるなら、建物ではなく、歩道も広く奇麗な並木道に面していること、駅を降りたら、ロータリーを挟んで200m先に佇んでいる。18年経ていても管理が良いこと、建物外観は凝ったデザインではなく、品がよく上質感のある落ち着いたイメージが漂っている点です。

 

その駅は、恵比寿や吉祥寺、代々木、目黒といった人気度でベスト10に入るほどではないのですが、生活の利便性も、沿線イメージとしても悪くない。新規の供給は何年も途絶えている駅です。

 

●人気マンションは手放す人が少ない

近隣の人たちが普段から目を着けていた。「出たら教えて」の登録していた人もいたが、何年も売り物が出ないので、諦めて他に希望を移し、やがて住み替えてしまった人もあったそうです。筆者の調査では、最後の取引は5年前でした。

 

このニュースに触れたとき、バブル期を思い出しました。バブル期は、土地ころがし、マンションころがしが横行しましたが、売買は殆ど不動産業者間で行われていました。

彼らは、情報が入ると住宅地図を開いて場所と地型(じがた)を確認するだけで買いのオファーを出していたのです。そこに銀行も加担し、あっという間に取引は完了し、買い手に所有権は移ります。その翌月、同じ土地が転売されます。それを何回転かするうちに、価格は2倍、3倍と跳ね上がって行きました。

 

中古マンションも投機の対象になりました。何億円とする土地代の資金調達能力がない零細な業者が手を出したのです。

 

話を戻しますが、見もしないで買ってしまうなんて、今どき、プロの業者みたいな行動をする買い手があるなんて、筆者は驚きました。その買い手さんが投資家だったという情報はなく、近所の一般人で、自己居住目的だったと信じます。

 

新築の供給が減り、品薄状態が続く今日、いきおい中古マンションの取引は活発です。しかし、買いたいと思わせる物件が売り物として出て来る確率が低いのも確かです。

 

人気マンションほど高く売れるもので、所有者の自慢の種になっていますが、売ってしまうと代わりのマンション、少なくとも同等のマンションを探す必要が出て来ます。

何かの事情で仮の住まい(賃貸マンションや社宅など)に転居する人も、これほどのマンションはないから、売らないでおこうと考えるのでしょう。

 

近くに、新築マンションができれば、条件の良い部屋、たとえばもっと広い部屋が欲しいとか、今度は南向きの部屋に住みたい、買うつもりはなくモデルルームを見学したら、設備が数段いいし、天井も高く「住みたい」気持ちが高じてしまった、このような動機がある場合に初めて売ろうかと考えます。

 

ところが、そのような新築物件は何年も販売されず、たまに出る物件を見ても、場所が気に入らないので見送り見送りしているうちに15年も住み続けてしまった。こんなケースが人気マンションには多く見られます。

 

それほど優良なマンションでも、数百戸の規模があれば、売却希望者は僅かながら出て来るものです。また、投資家がキャピタルゲインを狙って購入した例が多い有名物件も売り物はよく出て来ます。

 

●人気マンションは待っても無駄かも

この例のように、人気マンションは滅多に売り物が出てこないと思った方がいいのです。

運が良ければ、売りのタイミングに遭遇することもあるのですが、「出会いがしらのホームラン」みたいなもの、幸運だった、そう思った方がいいようです。

 

人気マンションは、ひとつの駅圏に絞ると、せいぜい2つ、多くて3つしかないものですが、駅を4つ、5つと広げれば10件くらいの候補が出て来ます。その中から出会いを待つしか、優良な物件をゲットするのは難しいかもしれません。

 

●推奨度Aもたまに出る。推奨度Bは少なくない

筆者のサービスで複数の中古マンションを一度に評価する「ショートコメント」というメニューがあるのですが、レポートでは、物件ごとに推奨度をA、B、C及び×の4種に分別しています。

 

推奨ランクAとは、(滅多にない好条件の物件。人気度は高く、大急ぎで行動したい物件)

推奨ランクBは、(ネックは多少あるが、前向きに検討したい好物件。急いで行動した方が良いと思われる)

推奨ランクCは、(標準以上の物件。悪くないと思うが、ついでに見てみる程度の物件)

×は言うまでもないでしょう。

 

このサービスを始めて分かったことは、Aもたまにあり、Bも少なくないことでした。つまり、丹念にポータルサイトから検索していれば「中々の好物件」に出会うことはありますし、サービス利用者で早い人は2週間、平均3か月で購入契約に至っています。

 

ただし、AもBも素早く行動しないと「売り切れ御免」になってしまうのです。本稿の冒頭の物件もAでした。

 

以前も、タッチの差で逃したAランクの物件に何回か遭遇しました。買い手さんの中には、会社を抜け出して見学に行った人もありましたが、大抵は週末になるので、見学に行く前に筆者の評価並びに見学時点で確認したいことなどを記したコメントを参考にしつつ、ある程度の意思を持って出向くことが求められます。

 

今回の「見なくてもいい(後で見る)」事件から感じたのは、とにかく「一番で意思表示したい」というくらいのスピードが必要ということでした。

上記サービスは、その意味から筆者も2日以内に調査結果とコメントをレポートとしてお送りしています。

 

・・・・・今日はここまでです。ご購読ありがとうございました。ご質問・ご相談は「無料相談」のできる三井健太のマンション相談室までお気軽にどうぞ。(http://www.syuppanservice.com

 

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