第768回「割高なリノベ物件購入は疑問だ!!」

このブログでは、居住性や好みの問題、個人的な事情を度外視し、原則として資産性の観点から自論「マンションの資産価値論」を展開しております。10日おきの投稿です。

今日は、古いマンションの「リノベーション物件」について語ろうと思います。

 

●リノベーション物件とは

リノベーション物件とは、比較的大きい規模のリフォーム工事を行い、住宅性能や付加価値を高めた物件のことを指します。  

 

*リノベーション協議会によれば、「適合リノベーション住宅は、きちんと検査をしたうえで必要な改修工事を施し、その記録を住宅履歴情報として保管します。住宅履歴情報があれば、点検やメンテナンスがしやすく、将来売却するときにも役に立ちます。また、万が一の不具合に対してもアフターサービス保証がついてくるので、安心して選べるリノベーション住宅です」と定義しています。  

 

*住宅性能や付加価値を高める内容としては、人気のおしゃれなデザインにしたり、断熱性能や耐震性能を向上させたり、現代のライフスタイルに合った間取りに変えることなどがあげられます。  

 

*リノベーションには、キッチンや浴室だけを改修する「部分リノベーション」と、建物を一度骨組みだけにしてしまう「フルリノベーション」があります。  

 

*「リノベーション」と「リフォーム」の言葉の使い分けは非常に曖昧になりつつあり、明確な線引きはされにくくなってきています。  

 

*しかし、「リフォーム」と「リノベーション」はそれぞれ異なるメリット・デメリットと「工事の規模」や「住まいの性能」に関する違いがあります。  

●リノベーション物件の問題点

*築古の中古物件では耐久性に難があるケースも見られます。1981年の耐震基準の見直しによって、建築基準法の改正以前と以降で住宅の耐震基準が異なります。また、築年数が古い物件では、単純に設備や資材の劣化から耐久性が落ちてしまっている物件もあります。リノベーションといえども、必然的に耐久性が低いと考えなければならないのです。  

 

*耐久性以外の問題点をお伝えしましょう。 調べていると、リノベーション物件は殆ど例外なく割高な価格で売り出されていることを真っ先に挙げなければなりません。  

 

*リノベマンションは、安く仕入れてリノベーション工事を施し、付加価値を高めて商品化するというビジネスモデルですが、その大半、全部と言って差し支えないのですが、実質価値以上の高値で売られているからです。  

 

*その価格を容認して購入するかどうかは、買い手の価値観によるのものの、割高な商品を承知で買うのはいかがなものかと、調査依頼が届くたびに筆者は疑問を禁じえません。  

 

*新築同様の内装に感動するからでしょうか?室内は確かにきれいですし、中には独特の間仕切りやインテリアによって「格好いい」とか「住みたい」と思ってしまう買い手が多いのかもしれません。

 

  *しかし、内装は新築同様でも外部(共用部)は古いままです。共用玄関、廊下、住戸の玄関外側、窓枠、バルコニーの床・手すりなどは年数なりに古いままです。いわゆる共用部は触ることができないからです。  

 

*見学に行くと、室内も外装も見えてしまいます。それに気付きながらも、室内の美しさに感動して手をかけていない共用部を忘れてしまうのか、目が曇ってしまうのか、それとも「古いんだから仕方ない。内装がこれだけ綺麗なら文句ない」と思うのか、第三者には何とも言い難い面です。  

 

*ただ、忘れてならないのは、そこに何年住むにしても、売るときに期待通りの値が付くことはないという現実です。購入時に綺麗だった室内も経年変化が避けられないためです。  

●買いたいマンションが例外なく高いという現実

2021年現在、新築も中古も高値で販売されているのが現実です。 新築が高いのは分かっているというが、中古だって比較的新しい物件はどれも新築並みに高い。このような声も多く届きます。  

 

*新築が高過ぎるから中古に目を向けたものの、その中古も驚くほど高いことに気付き、落胆した人の声です。「ふざけるな。なんで中古がこんなに高いんだ!」などと憤慨している声も少なくありません。でも、それが現実なのですーーーそう説明すると、どなたも得心が行かないという顔をなさいます。  

 

*そうです。優良中古、物件価値の高い中古は築年数の割に高い。これは間違いない事実です。築後20年を経過していても周囲の新築に並ぶ高値で売りに出され、殆ど売主の言い値で買い手が決まってしまうという現実。  

 

*売り物の値段は売り手の一方的な思惑で決められるものの、その値段が高過ぎると買い手が思うなら、取引は成立しません。新築マンションはコストの積み上げに企業利益を乗せて価格が決められますし、売れ行きが悪くても価格を大幅に下げるようなことは滅多にありません。  

 

*中古はどうかですが、売り手が一方的に価格を決めることはできますが、3か月待っても、6か月待っても買い手が現われなければ売り手の事情によっては値を下げるほかないのです。  

 

*新築マンションは、売出し時点で戸数が何十、何百とあるものの、販売期間が1年以上、高層マンションなら2年以上と長いので、何とか売れてしまいますが、1戸しかない中古マンションは違います。インターネットサイトに複数並ぶ中では比較が容易になる面もあるため、半年過ぎても買い手が付かないという状況が生まれやすいのです。  

 

*こうしたことから、中古マンションは高値売出しを目論んでみても通用しないことが多く、結局は相場での取引に落ち着くのです。無論、例外もあるのは事実です。見学者の中には、意外なほど無知な買い手もいることに加え、高いなと感じていても購入を急ぐ事情が判断の目を曇らせてしまうからです。  

 

*とりわけ築浅の中古は高値を付けても人気を集め、売主の言い値で買い手が決まる事例が多いと感じます。 その要因は、日本人の性向なのですが、「新しいものを好む人が多い」ためです。  

●リノベーション物件の良い点

リノベーション物件は、内装に関して言えば新築マンションと変わらないうえ、物件によっては新築以上の個性的で魅力に溢れたものもあるのは確かです。  

 

*そのうえ、工事が完了していれば直ちに入居、新生活を始められるという魅力があるのです。 雑多な室内の光景の中古を見学して来た人なら、美しく着飾ったリノベーション物件に見とれてしまうのも理解ができそうです。  

 

*今日、明日と急ぎで移転先を物色中の買い手でなくても、室内の一部にリフォームが必要と感じられる中古物件の場合は、契約してから3か月は待たなければならないのが普通です。一方、リノベーション物件は住宅ローンの申し込み手続きを速やかに進めれば、1か月以内の入居も可能ですーーーここもリノベーション物件の利点と言えましょう。  

●リノベーション物件の問題点

では、リノベーション物件に問題はないのでしょうか?  

 

*お分かりのように、共用部の姿は築年数のままであるか、多少のリフォーム(大規模修繕工事)によって、美しくなっているとしても、新築マンションに並ぶレベルに蘇ることはありません。  

 

*見た目だけならまだしも、外から見ただけでは傷み具合は分からない点が懸念されます。 たとえば、水道管の老朽度などは判断がしにくいはずです。その観点だけでも「大丈夫かな?」との疑念は消えないからです。  

 

*天井高や床の段差も問題です。 最近の新築マンションは天井高が低くても2m50cm以上ありますが、古いマンションは2m40cmしかなく、背の高い買い手には「天井が低い」と映ることでしょう。  

 

*リビングルームの窓サッシの高さも最近の新築のような2m以上など遠く及ばず、1850か1900といったものが多い。これも現実です。  

 

*こうした点をつぶさに見て行くと、快適なマンションライフがここで送れるだろうかと、筆者などは疑念を禁じえません。  

●リノベーションは自分でやるに限る

ところで、不動産業者はなぜリノベーションを手掛けるのでしょうか?仲介業務に徹すればいいのに。 そう思う人も少なくありません。  

 

*そうです。リノベーション事業は利益が大きいからです。 ご承知のように、、仲介業者には法定手数料3%以上を収受することはできません。 売れなくても不良在庫を抱え込むというリスクがない代わりに大きく儲けることもできないのです。  

 

*両手売買、すなわち売り物件を自社で獲得し、買い手も自社で見つけたときだけ、買い手・売り手の双方から3%ずつ手数料をもらうことはできますが、買い手はともかく、売り手を獲得するのが難しいのが現実なのです。

 

  *そこで、買取り転売方式の売買を目指しているのが、リノベーションです。これならうまく行けば10%以上の利益を得られるからです。安く仕入れられれば、もっと大きな利益を得ることも可能です。  

 

*ところが、仕入れは難しいのです。安く売っても直ぐに代金が欲しいという個人の所有者は滅多にいないようで、早く売れるにこしたことはないが、安く売りたいとは思わないからです。 「即金で買うから」などと迫っても、「そんなに安いなら売りません」と言われるのが落ちです。  

 

*そこで、中々買い手が決まらず困っているような物件に目をつけて安値で仕入れる。これがリノベーション事業の始まりになってしまうのです。 中々買い手が決まらない物件とは、その多くが古過ぎる物件のことです。  

●中古マンションなら自分でリフォームするに限る

お分かりのように、リノベーション物件は古過ぎて何かと問題のあるものが多いのです。古くても高値の取引が常態化している有名物件ではないもので、欠点・短所が目立つノンブランド物件ばかりです。  

 

*欠点が古いというだけなら容認できるとしても、リノベーション物件は例外なく高値です。言い換えると、売主業者の利益がたっぷり乗っている割高物件なのです。  

 

*その意味で、中古物件を選ぶなら自分でリフォームして住む前提で、古過ぎないものを選ぶことを勧めます。 手間暇かけても、リフォームを個人で取り組むことです。  

 

*ただ、リフォーム前の室内を見たとき、購入意欲が湧いて来ない感じる買い手が多いようです。 「私は割り切ることができそうだけれど、妻は汚れた室内を見て買いたくないとというのです」と。  

 

*この話は、夫婦間の問題なので助言は難しいいものの、敢えて言えば「リフォーム済み物件と、リフォームしていない物件の両方を漢学して、出来上がり予想の姿をイメージしてもらうほかない」かもしれません。  

 

*筆者は、古過ぎるマンションには懐疑的なのです。築後20年程度なら心配は少ないが、30年も経過している中古の建物には懐疑的です。しかしながら、築10年以下の中古は高過ぎると思うからです。  

●古くても高値が付くマンション、古いなりに安いマンション

築20年の中古マンションを買ったとしましょう。 そこに15年住み続けるとしたら、売却時は築35年となります。 15年後に売れるのだろうか、売れるとして価格はどのくらいにになってしまうのだろうか?  

 

*こんなことを思うと、物件の選定は慎重でなければなりません。 10年なり、15年後に、どのくらいで売れるだろうかーーこの疑問を抱く買い手が最近は増えているように感じています。

 

  *マンションの価値は、室内の良し悪し(間取りや設備など)で決まるわけではありません。 第一に立地、次にマンション全体、最後に住戸の順で価値判断されるのです。どんなに立派な建物でも、山の中のマンションが高値で売れることはないのです。  

 

*新築時は建築費に差がないので、用地費が安い郊外のマンション、バス便のマンションと駅近マンションとの差は大きくありませんが、中古市場では建築原価も売り手の希望も無視され、立地条件の良くないマンションの取引価格は驚くほど安くなってしまいます。  

 

*新築価格より高値で買い手が付くようなマンション、とりわけ東京都心の人気エリアのマンションを選択することができれば、将来の売り時点で築年数が30年・40年となっても買い手は直ぐに現れる例が多いのです。  

●リフォーム業者の選定はどうやるべきか?

リフォーム業者は無数と言って過言でないほどたくさん存在します、その中からどんな会社を選んだらいいのか。零細なリフォーム業者も多く、その選定は容易ではないかもしれません。  

 

*しかし、有名なリフォーム業者も出来上がりは大差ないのです。リフォーム後の品質表やアフターサービスなどに関して説明を聞けば安心できる中小業者も少なくありません。ここで具体の社名を掲げるわけには行きませんが、複数の業者に提案図と見積もりを依頼して選択するようにすると良いでしょう。

 

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