第657回 郊外マンションの値下がり率・都心マンションの値下がり率

このブログは、5日おき(5、10、15・・・)の更新です。

 

建物が劣化すればマンションの価値は下がります。従って、中古マンションは新築時から見れば必ず値下がりするものです。しかし、値下がり率は物件によって大きく異なります。中には値下がり率が大きいもの、反対に値下がり率が小さいものが現実に存在します。

前回の記事では、値下がりしないマンション代表例を挙げました。築20年、築35年を経ても高い価格を維持するマンションはどこが違うのか、その要因をお伝えしました。

 

今日はその続きを「郊外マンションと都心マンションの差異」として述べようと思います。

 

●郊外マンションの値下がり率が大きい理由

建物の減価を防ぐためには、メンテナンスをしっかりと行うことが大切です。大規模修繕の実施もさることながら、居住者が愛着を持って管理に取り組むことが重要とも言われます。管理会社に任せっきりにするのではなく、自分の家として、管理のあり方を主体的に考え行動すること、言い換えれば「管理意識」が大切なのです。

 

マンションは、悪い所は大手術を施して新築同様にすることが可能です。弱った心臓も、機能が低下した腎臓も、血流が悪くなった血管も全て交換するような、人間では困難なことも建築では可能です。ただし、そのための費用が必要です。

 

その費用は修繕積立金として蓄えて行くのが常識です。しかし、計画的に蓄えるとしても、十分か不十分かという問題があります。つまり、財政的に最低限の手術代、治療代しか溜まっていないマンションがあるのです。

 

市場に流通している中古マンションは、5歳から45歳くらいまであります。当然、新築同様に美しく最先端の設備を装備し、素のままで買い手を待つものから、古着を身にまとい、レトロな雰囲気を漂わせたものまで幅は広いのです。

 

管理が良いことで高く売ることができたマンションという実例は少なくないので、マンションの資産価値を維持したければ、何としてもメンテナンスに力を入れるようにしなければなりません。

ただ、維持管理が良いだけでは建物の劣化分を補いきれるものではありません。経年によって下落するのは避けようがないのです。下落率も都心と郊外では差異が大きいのです。同年数の都心マンションと郊外マンションでは価格維持率が異なるのです。

 

都心のマンションが100で販売され、20年後に70に(下落率30)なったとすると、同時期に分譲された郊外マンションは70で分譲されたものの、20年後には40(下落率43)になってしまうのです。

どちらも、管理状態や改修などを同程度と仮定した場合ですが、このような差はどのような要因で生まれるのでしょうか?

 

ひとつは、場所の価値(地価)は建物のように減価しないからです。土地の比率が高い都心と土地比率が低い郊外の差によるとも言い換えることができます。

 

都心のマンション100は、土地が50、建物が50という比率ですが、郊外マンションの70は土地が20、建物が50なので、20年後の都心マンションは、土地50+建物20になり、郊外マンションの20年後は土地20+建物20になってしまうのです。

 

郊外マンションが都心マンションのような価格維持率70%に留めるためには、購入額70×70%=49なので、建物20とすると、その差29、すなわち地価が分譲時の20から29に上がらなければならない理屈です。

 

現代では考えにくい変遷です。むしろ、都心だけが土地の価値が上がり、郊外は一段と下がる可能性が高いと考えざるを得ません。

人口減少と高齢化という将来予測が大きく狂うか、ビジネス拠点の分散化、テレワーク比率が急速に進むなど社会構造の大きな変化が起きない限り、郊外都市の衰退は宿命のような流れにあります。

 

郊外マンションの需要は減り、中古マンションの買い手探しは一苦労することになるだろうと思わざるを得ないのです。ただ、何年後にどの程度需要が減るのかを具体的な数字で示すのは困難です。10年や20年で劇的に郊外マンション需要が減少するということはないと信じますが、じわりと需要が減っている郊外都市が既にあることは肌で感じます。

 

もちろん、郊外マンションを十把一絡げに捉えることは乱暴です。地域格差があるのです。郊外の中核都市や県庁所在都市、東京都心にアクセスがよく、絶対距離でも近いなど、30年、40年衰退しそうにないと予測できる都市もあります。駅単位で言えば、人気があって廃れそうにないと期待できる街もあるのです。

 

●郊外で値下がりしないマンションはあるか?

誤解のないようにお断りしなければいけません。郊外都市でも、築年数が同程度の周辺マンションに大差をつけている優良マンションがあります。「都心がいい、郊外はダメ」と一刀両断的に決めつけるのは間違いです。

 

具体の物件名を挙げて述べることは次の機会にしますが、現実にその駅(街)で突出した価格で取引されている物件があるからです。

 

何が違うのか、共通点をお伝えしておきましょう。

⓵大規模でタワー型のマンションである

②共用施設が豊富で、マンション全体として豪華である

③駅に2分以内の立地にあり、よく目立つ(ランドマーク性がある

④郊外都市の中では大きな駅である(駅力が高い。急行停車駅

 

※短く言うと、「郊外の大きな駅の駅前マンション・地域一番マンション」は価格が下がりにくいのです。

 

●郊外都市を候補にするときの留意点

東京都下、千葉、埼玉、神奈川を候補地にしてマンション探しをするときの留意点をお話ししましょう。

 

上記の⓵~④は理想ですが、それが難しい人はどのような点に気をつけたらいいのでしょうか?

⓵できるだけ東京都心にダイレクトでつながる鉄道にする

②できるだけ駅から徒歩5分以内のマンションにする

③できるだけ規模の大きなマンションにする

④できるだけワイドスパンの間取りまたは角部屋にする

⑤できるだけ見晴らしの良い部屋にする

⑥できるだけブランドマンションにする

 

*  *  *  *  *  *  *  *  *  *

 

郊外マンションと都心マンションとの間には、人口問題、地価の問題、都市の発展・衰退の問題といった構造的な要因によって宿命的にリセールバリューの差異が生まれるのです。その中にあって、郊外マンションを選ぶほかなかったり、仕事の関係や家庭の事情によって郊外マンションを選ぶことにしたりする人は、今日述べた⓵~④、及び⓵~⑥を基準において慎重に選択なさることをお勧めします。

 

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