第665回 税率8%住宅にローン控除の延長はない
このブログは居住性や好みの問題、個人的な事情を度外視し、原則として資産性の観点から「マンションの資産価値論」を展開しております。
5日おき(5、10、15・・・)の更新です。
10月1日以降、消費税は8%から10%に上がります。
マンションも建物部分のみ消費税が課税されているので、価格は上昇することになります。都心部のマンションは価格の半分が建物代なので、仮に7000万円のマンションなら3500万円が建物代ですが、ここが2%分、約70万円プラスされ、7070万円になる勘定です。
少しでも安く買いたい人は消費税の上がる前に買った方がいいのでしょうが、それで駆け込み需要が発生し、その反動で増税後に消費が伸びない、もしくは減ってしまうことを恐れる政府は対策を打ち出してきました。そのひとつが、税率10%が適用される住宅を取得し、2019年10月1日以降に入居した場合、ローン控除期間が10年から13年に延長されるという策です。
気を付けるべきは、「税率10%が適用される住宅」という部分です。
この3月31日までに売買契約を交わせば、引き渡しが10月1日以降になる住宅でも消費税は8%ですが、4月1日以降に契約した場合で、引き渡しが10月1日以降になる場合は税率が10%になってしまいます。
その場合、住宅ローン控除が3年延長されることになっています。例えば、2019年11月30日に残金を支払い入居したとするなら、住宅ローン控除は、12月末のローン残高の1%(最大40万円)を翌年2月16に日以降の確定申告によって前年1年間に源泉徴収された所得税が還付されるというわけです。
しかし、9月30日前に引き渡しを受けて入居した場合は対象外ということになります。なぜなら「税率10%が適用される住宅」ではないからです。8%適用の住宅を取得した場合には、控除の3年延長は受けられないのです。
そもそも消費税の増額によって消費が落ち込むことを避けるための策なので、8%の税金を納めただけの人にローン控除のおまけはつかいないというわけです。
一方、中古マンションは大半が個人の売主、すなわち非課税業者なので消費税は元々課税されていませんから、10%になっても無関係ということになります。言い換えれば、中古住宅は3年延長の対象外なのです。
中古マンションで影響が出るのは、不動産仲介業者に支払う仲介手数料が2%増えるだけと言ってよいでしょう。仲介手数料は3%で算出された金額に8%をかけたものが、10月1日以降は10%に増額される、すなわち3.24%が3.30%になるというわけです。まあ、ほとんど影響はないといって過言ではありません。
消費税増額の影響は軽微と考えるか、大きいと考えるかは個人の金銭感覚の問題のような気がします。つまり、マンションをいつ買うべきかを増税前にするか増税後まで待つかより、大事なことは、いつも価値あるマンションをどう選択するかにあります。
安物買いの銭失いにならぬよう気をつけなければなりません。また、高過ぎるマンションを買うのも問題です。
価値あるマンションを適正な価格で買うこと、ときには値引き交渉を頑張って買うことなども重要な購買態度です。そこで、今日は最後に「マンション選びの原則」を整理しておきます。
1) 駅から遠い物件(10分以上)は避ける(5分以内が理想)・・・5分をも超えてもリセールバリューに影響ない物件は、その弱点を補うインパクトある長所・利点があるもの。
2)バス便のマンションは値下がりする(例外は殆どない)
3)東京都心に一直線でアクセスできる鉄道の駅がいい・・・幹線鉄道が良い。支線や枝線は避けた方がいい
4)1階、2階の部屋は避けたほうがいいい(例外もある)・・・1階は、防犯の問題や大雨の際に冠水しないか、冬は寒くないかなどの疑念を抱く人が多く、購入を敬遠する傾向があります。このため、価格の下方圧力が強く働きます。
5) 小規模マンションは避けた方がいい(例外もある)・・・規模が小さいことにメリットは少ない。管理費が割高になる、存在感に乏しい、共用施設がない、豪華さに欠けるなど。
6) 安物マンションは銭失いになる(例外はない)・・・高いマンションほど人気マンション、人気エリアであることが多く、リセールでも買い手が多いので、価格は下がりにくいのです。安い物件は、その逆で、安く買ったつもりでもリセールでは買い手がつきにくいために一段と安くなってしまうと思わなければなりません。
7)バルコニー方向に切迫して建物があるものは極めて売りにくい・・・前面の建物が壁のように立ちはだかる住まいを快適と思う人はいません。距離によりますが、5mしか離れていないマンションは売れないと思った方がいいでしょう。
8)設備の良し悪しを優先項目にしない(優先項目の一番は立地)・・・ いくら設備がよくても、古くなれば汚れたり交換が必要になったります。住んでいる間の快適性には影響するので軽視はできませんが、優先条件ではないのです。
9)マンションは住戸を買うのでなくマンション全体を買うもの・・・ 優先順位は間取りや設備ではなく、共用部を含めての我が家なのです。その視点が大事です。近視眼的にならないことが重要です。
10)マンションは格好いいもの(デザイン性の高いもの)が良いと心得る・・・マンションの外観や玄関周りの質感や豪華さ、洗練性といったもの、平たく言えば「格好の良さ」とか「存在感」といったものが優先します。
11)大きいマンションは良いマンションである場合が多い(例外もある)
12)売却時、見学者は感動してくれるかと他人目線で考えてみる・・・自分目線だけでは足りません。リセールするとき、人はどう思うのかと客観的に考えてみることが大事です。自分は気に入ったが、独りよがりではないかと
13)マンション選びの順番は<街➡建物全体➡住戸>と心得る・・・マンション選びは街選びと言っても過言ではありません。リセールバリューの決め手は、良い街・人気のある街を可能な限り選ぶ。そこから考えるべきです。その次がマンション全体、最後は住戸です。
14)中古も検討する(新築の供給が減ってしまったから)・・・新築の供給が大幅に減って今後も回復する見通しが立たないので、新築をいくら待っても希望する物件が出て来ないと覚悟しなければならないかもしれません。中古も候補探しをすることで選択肢が広がり、ゴールは近づくでしょう。
・・・・・今日はここまでです。ご購読ありがとうございました。ご質問・ご相談は「無料相談」のできる三井健太のマンション相談室までお気軽にどうぞ。(http://www.syuppanservice.com)
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