第754回 「格差広がる中古マンション」

このブログでは、居住性や好みの問題、個人的な事情を度外視し、原則として資産性の観点から自論「マンションの資産価値論」を展開しております。10日おきの投稿です。

「安い物は上がらず、高いものは一段と高値に」と書いたところで、意味が通じるかなあと自問自答してみました。   言い換えましょう。

「安価なマンションの値上がり率は低いが、高値のマンションは一段と高値になり、物件格差は拡大する」のです。 今日は、そのことを改めてお伝えしようと思います。  

●安値のマンションの共通点

安いマンションは何処にあるでしょうか? そう、都心から離れた街に立地しています。最寄駅からバスに乗り継ぐようなマンションは一段と安くなります。

バスの利用を要しないとしても、都心から遠く離れた郊外都市のマンションは安値になっています。

 

  東京を中心に考えるだけでなく、郊外の中核都市、例えば、さいたま市の浦和や大宮、横浜市の横浜やみなとみらい、川崎市の川崎や武蔵小杉、千葉県では津田沼や市川といった中核都市を起点に考えた場合でも、これらの駅から遠く離れた駅(街)は、安く分譲されています。  

 

新築時に安いマンションは、中古になると一段と安くなってしまいます。人気エリアのマンションを100としたとき、人気で劣るエリアのマンションは80とか70で分譲されますが、中古マンションは人気エリアが90や80になったとき、後者は50とか40などと差が広がるのです。

 

  相場の上昇によって、人気エリアの中古が新築購入時より値上がりして120になったとするとき、不人気エリアの中古は80から70、70から60などと値下がりしてしまうのです。  

 

安値になるマンションの共通点は、端的に言えば「需要が少ない」ことに加えて「購買力の低い階層が多いエリアである」からです。

中古マンションが安値のエリアには、購買力が低い階層ばかりが集まるのです。   無論、どんなエリアにも富裕層は存在しますから高値のマンションを購入できる階層は一定数あるに違いありません。 しかし、総じて予算の少ない階層が集まって来るのです。

 

  予算に余裕がある階層は、価格の高いエリアへ行ってしまうものです。安いだけのマンションでは買い手は集まらないと断言します。 

安値のマンションが立地している地域は、人気度で劣るため、安くしないと買い手も集まらないのです。 言い換えると、マンションの人気度は街の人気度に比例しています。

人気のある街のマンションは比例して買い手も多く、高値でも購入できる人たちが多く集まります。条件の良い中古物件は売主の出し値のままで買い手が短時間で決まったりもします。  

●高値のマンションはますます高値に

高値のマンションを買っても、何年か後に売却を図ったとき、期待以上の高値に驚くこととなるものです。

 つまり、価値あるマンションが購入価格も高いが、売却時にも高値を維持しやすいのです。

  高値のマンションは価値あるマンションであることを証明しています。買うときに価値あるマンションとして市場が認めた高値は、売却時にも価値あるマンションとして市場は高い評価をしてくれるのです。

 

 買ったときより下がるとしても、下落率は僅かであり、物件によっては購入時より高くなっている事例も少なくありません。   無論、経年劣化は完全には隠せないものですが、それを織り込んでも高値で買い手が付くということがあるのです。 

市場全体が高値になっているだけでなく、むしろ市場が安定しているときでも特定のマンションだけは値上がりしているといった例は少なくありません。   その意味では、購入時に安値のマンションを選ぶのではなく、可能な限りの高値マンションを選択しておいた方が良いという逆説的発想も生まれて来るのです。  

●高値のマンションは希少価値が高いものだ

モノの売買価格は、需要と供給の関係で決まるとされます。ダイヤモンドの輝きがエかつあり、かつ数が少ないマンションは高値になるのも道理です。 

 

不動産・マンションは工場生産品ではないうえ、手作り、かつ一品生産なので、ダイヤモンド以上の価値があるとも言えます。  

無論、場所(立地)の価値は経年劣化がなく、むしろ、時の経過で価値が高くなることさえあるのです。 建物が経年劣化しても、交通便や環境が良くなればトータル価値は上がります。

 

とはいえ、マンションの敷地内環境が良くなることはあるのでしょうか? 

端的に言えば、敷地内の樹木が生長して枝葉を広げ、建物の外壁を覆うとき、マンションは美しく輝いて見えることでしょう。   無論、中高木だけでなく、低木や草花、芝生なども演出効果を高めるのに役立ってくれます。演出効果を狙っての植栽ですが、見方を変えると「建物の経年劣化を補い得るもの」でもあるということです。  

●伸びる街・発展する街という惹句には注意したい

マンション販売の戦略・戦術を練るとき、販売業者は、街の発展性を「誇大広告のルール」に抵触しない範囲でアピールしています。 

専門の広告コピーライターによって品性を保ちつつ、かつ広告の規制を守りつつ、物件価値をアピールします。

  担当の販売員(営業マン)は、広告コピーをセールストークの中に潜り込ませつつ、当該マンションの立地条件について、さも値上がりするかのように買い手に思い込ませようと図ります。 

 

しかしながら、10年経っても期待したようにはならなかったという例も少なくないのです。   20年くらい前までは、首都圏の各都市はどこも発展途上にあったと言って過言ではありません。ところが、時代背景は変わり、郊外で発展が期待できるエリアは限定的になってしまいました。

 

 人口の東京一極集中にもブレーキがかかり、東京通勤者が郊外居住を強いられる時代ではなくなったのです。   一因には、夫婦共働き世帯が増えたこと、また、結婚しない男女も増えて晩婚化も進みました。

こうした背景から、郊外に住む世帯の数は伸びなくなってしまったのです。これからも、大きく伸びる郊外都市は少なく、再開発によって街並みが変わり、大型マンションの開発などで人口を増やすことができたとしても、高々千人か2千人のこと、期待度は高くないと見なければなりません。  

●強いのは23区内の一部と横浜・川崎などの一部だけか

停滞する郊外都市に対し、根強い人気の東京都心や横浜・川崎の一部などと選別が進むことになりそうです。

 

  人気薄の街では、中古マンションの価格は値上がりしないでしょう。高値で売り出したとしても、買い手は現れず、現れても購入をためらい、新たな買い手が現れては消えるの繰り返しで、下がる価格を修正できないことでしょう。

  買うなら人気の街の駅に近い物件に絞った方が良いと言えるでしょう。最高の立地で買えない人は、二番手グループの立地を選ぶといった慎重な場所選びが必須と言えるのです。

 

  コロナ禍の中でもマンション購入に積極的な人は少なくないようです。業種、職種、企業規模の違いはあるものの、安定した企業、安定した職種の買い手は今日も購入を前向きに検討しているようです。

 

  ところが、買いたくても欲しいとと思える物件がないと言います。新築マンションの数は大きく減って、その分を補うはずの優良中古も多くないのです。

 

新築、中古合わせて購入を検討してみても中々良いマンションに遭遇しないと嘆く声も届きますから、事情は筆者にも実感できます。

   しかし、家賃はドブに捨てるに等しいのです。市場に並ぶ玉石混淆の中から何としても光る玉を探し出さなければなりません。 待って得ということはないはずです。選別眼を磨き、素早く見つける目を養いたいものです。

 無論、筆者もお手伝いします。  

 

最後に繰り返しておきます。 「マンション選びの最重要ポイントは立地条件です。1に立地、2に立地、3・4がなくて5に立地」・・・・・こう固く刻みながら、選別眼を養いましょう。  

・・・今日はここまでです。ご購読ありがとうございました。ご質問・ご相談のお申込みはこちらから(http://www.syuppanservice.com

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