第761回 「最寄り駅から徒歩10分は遠いか?」と問われて
- 2021.09.20
- マンションの選び方
このブログでは、居住性や好みの問題、個人的な事情を度外視し、原則として資産性の観点から自論「マンションの資産価値論」を展開しております。10日おきの投稿です。
◆
◆
◆◆有料「マンションセミナー」開催のお知らせ◆◆
主な講義内容としては、「マンションの間取りの見方」や話題の新築マンション「晴海フラッグ」に関して、コロナ禍オリンピック後のマンション市場の展望についてもお話しします。
晴海フラッグの購入をご検討されている方はもちろん、これから新築・中古マンション購入をご検討されている方にとっても参考になる内容となっております。
マンションの将来価値、買って良いマンション・避けたいマンションの見方のポイント、マンションの選び方等について、具体例を挙げながらお話しします。
【オンラインセミナー開催!!~三井健太のマンション購入術 第8弾~】
副題A:オリンピック後のマンション市場の現況と展望
副題B:これからのマンション選びとその要諦
副題C:晴海フラッグは買いか?将来価値は?
お申込みはこちらからどうぞ
https://wangan-mansion.jp/column/archives/2409
◆
◆
◆
マンションの価値は立地条件で決まると言って過言ではありません。 立地条件とは、敢えて添えれば、都心か郊外か、交通は便利かどうか、最寄り駅から近いかどうか、環境は良いかどうかなどのことです。 ・・・・今日は、マンションの立地問題に絞ってのお話です。
●最寄駅からの距離
共働き家庭が増えている現代、多くの買い手が駅に「近くないと困る」と考えています。
コロナ問題から自宅で業務に従事する人が増えているようですが、その働き方が長く定着するかは疑問が残りますし、業務内容・職種などによっては自宅で執務することは困難なのですから、やはり通勤するという前提を外すことはできないはずです。
無論、週1回とかの通勤で済むので利便性を重視しなくて良いという人が増えているという話はよく聞きます。しかしながら、マンションは将来の売却という問題をあらかじめ考えると、買ってもらう対象を狭める交通便の悪い物件選択をするのは大きな疑問と言わざるを得ないのです。
やはり、通勤の問題を除外してマンション選びをすることはできないのです。無論、通勤を考えずに地方都市など東京都心から遠く離れたエリアにマイホームを構えるのも特殊な少数の人たちだけです。
●駅近に用地不足の現代だが
通勤という前提を置くと、マンションデベロッパーは従来通りに通勤圏の駅近で用地を探し、駅近マンションとして建設・アピールしながら販売したいに違いありません。 ところが、そもそも駅に近い土地は少ないのが実情です。
駅の近くは一部の人・企業が占有していますが、何かの事情で手放す人があるとしても、マンション建設に不向きな狭いものが大半のため、マンション事業者は相変わらず用地取得に苦労しています。
歴史ある古い建物の多い街では、ときどき建物の老朽化や相続問題などから、貸しビル・自社ビル・自宅店舗・自用ビルを売却する例が現われます。一軒家などと違って、これらの土地は比較的大きいので、マンション建設に向くものが多いと考えられます。
しかし、マンション業者が希望するものは少なく、業界全体としては不足しているのです。 前にもご紹介しましたが、新築マンションの発売戸数を見ると、最近10年の平均は首都圏全体を併せても3万戸程度で、需要ボリューム5万余の半分も供給できていないのです。
●駅近とは徒歩で何分?
その昔、駅から10分を超えるマンションが普通という時代がありました。
徒歩15分なら許容すべきとされたのです。駅から近い用地が投資家に買い占められて高騰し、マンション分譲用の土地が消失したためです。バブル期のことです。
バブルは去り、地価が下がって妥当な価格で取引されるようになってから、駅近のマンション開発もできるようになりました。そうして、常識は覆ることとなり、駅前の一等地などでマンション開発が増えることとなりました。
昨今は、最寄り駅から徒歩5分以内の立地でマンションが開発されることが普通になりました。 こうなると、個人が購入したマンションを何年か先に売却に出したとき、それを買ってくださる人も駅近を望むはずです。
この傾向が続く限り、駅から5分でなく、10分もかかるマンションの人気度は低く、結局は高値が付かないことになるのです。
売り物が少なく、買い手が多い市場構造になれば、条件の悪い「駅10分」であっても高値が通用するかもしれませんが、そのような状態になるのは、都心の一等地と言われるエリアに建つ高級マンションだけのことです。
一等地とは言えない地域では買い手が少ないために、売り物だけが多い「選り取り見取り」状態となってしまうので、競争力に劣る物件は買い手が付きにくいことになるでしょう。
すなわち、「駅から10分」以上を要する立地では、価格を下げて買い手を待つ格好になってしまうのです。購入の目安は「徒歩5分以内」と明記しておく必要があるのです。
●駅近を望む妻
夫婦共働き世帯が普通の今日、家事労働の主役である妻は、夫より早く帰宅して大急ぎで夕飯の支度をしなければならないとしたら、便利な立地の住まいを夫以上に望むのかもしれません。
東京都心の家なら、さほど大きな問題ではないかもしれませんが、少し遠いエリアなら、最寄り駅からの距離も重要です。 仕事を終えて急ぎ帰宅するとき、最寄り駅に到着したら、目の前に自宅がある方が良いのは言うまでもなく、最寄り駅から10分も歩くのでは主婦の負担が重いからです。
●雨が降った時
東京都心のマンションなら、職場からタクシーで帰宅しても、毎日でない限り、大きな負担ではないかもしれませんが、少し離れた自宅なら、電車で帰って、駅からは歩くのが一般的です。
そんなとき、最寄り駅から10分歩くか、3分、5分ですむかの差は大きいのです。
高温多湿の日本では、雨の日を想定して家選びすることが優先的な課題です。雨が降ったときはタクシーで帰宅という方法もあるでしょうが、そんなときに限って長い時間タクシー待ちをさせられるものでもあり、やはり駅近の家が望ましいのです。
●駅近は環境が良くない?
ところが、駅のそばは環境が良いとは言えない街が少なくありません。 雑居ビル、飲食店ビルなどが密集していて、環境が問題だと感じる例も少なくないのです。
程度問題ということかもしれません。線引きして語ることは困難ですが、治安の良い日本では、駅近の立地に強い抵抗を感じるという街は少ないはずです。
とはいえ、現地調査をなさるときは、時間があれば曜日を変え、時間帯を変えて見学すると良いでしょう。 女性の視点で現地調査をなされば、懸念点を発見できるのかもしれません。 大きな環境問題がなければ、やはり駅近が良いのです。「徒歩5分以内」と明記したいものです。
●中古になって売却するとき、駅近は強い
買ってから何年か先に売却することになるのがマンションです。 平均的には10年程度です。
売却見込み額が気になるところですが、高値を呼んでくれる条件は、「エリア・駅の人気度が高いこと」、そして「最寄り駅からの距離が近いこと」です。
高くても買ってくれる人が多い場所に自宅マンションを買っておけば、将来売るときは高値が期待できます。 買うときも高かったが、高く売れて万々歳となるのです。
下手に安い物件を選んでしまうと、10年先に期待外れの安値に落胆するということになりかねません。
「安物買いの銭失い」ではありませんが、「安いマンションの大半は立地条件に問題がある」のです。 新築マンションで言えば、その建築費は、駅から10分の立地も、5分の立地も大差はありませんが、用地費で差が付きます。 その差異は、概ね5~10%です。
高額品で5%、10%という差は小さくありませんから、安い方を選びたくなる購入者心理は理解できますが、できるだけ「駅に近い高額物件」を選ぶようにしたいものです。
●電車通学の娘を思いやると駅近が良い
あるご相談者は言いました。 少し遠くの私立中高に通学することになりそうな娘がいるので、治安の良い街に住みたいと。
筆者の娘もそうでしたが、幸いにして駅1分のマンションを買ったので心配したことはないはずでした。ところが、高校に進学するときに心配が出て来ました。
都区内ではあったものの、あの満員電車で通学しなければならないのか、そう思ったのです。 筆者は進学先の近隣で次の家を探して移転することを決意しました。
購入時は問題ない立地も、子供が成長したり、夫婦の仕事の関係から不都合になったりしますから、住まいは買い替えのニーズが生じるのです。そこが、地方都市と東京の差です。
●近ければどんな駅でも良いというわけではない
ひと口に駅といっても、東京には無数の駅があります。筆者のような仕事をしていると、数えきれない駅・街を行ったり来たりしますが、いまだに下車したことのない駅があります。
たまに、一度も行ったことがない駅や記憶の薄い駅に向かうときがありますが、そんなときに「東京でもこんな寂しい駅があるのだ」と感じるのです。
寂しいとは、商業施設が異様に少ないという意味ですが、この街では買い物は何処でするのだろうか、外食もままならない街だなあ。 こんなふうに感じる街(駅)が現実に今もあることに気付きます。
そのような街では、中古マンションの価格は安いのです。 言換えれば、安くなければ売れないのです。
このような街の物件は新築でも中古でも、手を出さない方が無難です。
既述の通り、建築費はどこでも大差ないので用地費の差で価格に差が付きます。しかし、建築費の負担割合より用地費のそれが大きい都心部では、駅から遠いなど、立地条件が悪くてもさほど分譲価格は下がらないものです。
新築にこだわる人は、安さに惹かれて寂しい駅を最寄りとする物件を検討しがちですが、その安さは十分でなく、むしろ割高なのです。 用地をもっと安く取得しなければ、その土地なりのマンション価格にはならないのですが、そこまでの安さで用地を取得するのは現実問題として不可能なのでしょう。
一見安いが、実は割高という物件は、駅から10分もかかる物件です。 無論、少し遠い分を建物の付加価値(スケールその他)で何割かは補っている物件もあるのですが、できるだけ駅近を選ぶようにしたいものです。 また、駅近マンションは高値ですが、高くても、人気のある駅、便利な駅に近い物件を選んでおきたいものです。
ご購読ありがとうございました。ご質問・ご相談のお申込みはこちらから(http://www.syuppanservice.com)
まとめて4件以内*ショートコメントサービス*始めました。
見学前のご利用がお勧め。肝心の部分に限定したショートレポートです。複数の候補があってお迷いのときに役立ちます。 ショートコメントサービスの料金とお申込みは「三井健太のマンション相談室」でご確認ください➡(http://www.syuppanservice.com)
※こちらのBLOGも是非ご利用ください。
https://www.sumu-log.com/archives/author/mituikenta/(スムログ)
http://sumitaimansion.blogspot.com/(三井健太の住みたいマンション)
◆
◆
◆
◆
◆