第604回 「バブル色のマンションに要注意」

このブログでは、居住性や好みの問題、個人的な事情を度外視し、原則として資産性の観点から自論を展開しております。資産価値を重んじる方のための購入のハウツーをお届けするもので、お気に障ることもあろうかと思いますが、満点の家はないと思っていただき、失礼はお許し下さい。

5日おき(5、10、15・・・)の更新です。

 

バブルかもしれないなと思ったりもする昨今です。

 

新築マンションの価格が頭打ち加減になったと思った2016年(前年比2%アップ)でしたが、2017年は再び8%以上の上昇となった首都圏。底値だった2012年から5年間に坪単価は213万円から284万円に33%の上昇(23区は264万円から357万円に35%上昇)。

 

このような数字を見ると、局所の異常現象ではなく、広範に値上りが波及していると分かります。 場所によっては、もっと激しい上昇のところもありますし、いくらか緩やかな地域もありますが、おしなべて価格は大幅に上がっているのです。

 

通常、価格が上がり過ぎれば購買力が追い付かずに客離れが進みます。つまり、売れ行きが低下します。実際、最近2年だけを見れば新築マンションの契約率は悪化しています。売れ行きが悪化すれば、売り上げ確保のために値引き販売が増えますし、次の新規物件では価格を下げる方向へ売り手は向かうものですが、まだその段階に来ていないようです。

 

業界地図を見ると大手デベロッパーの寡占化が進んでいるのですが、その大手が高値の都心物件を中心に供給していること、そして高値にも関わらず駅前立地の強みからか販売好調という例も少なくないこと。それが、強気を崩さない要因なのでしょうか?

 

その一方では、郊外のマンションが振るわないという現象が見られます。郊外マンションは、都心部の物件よりは高くないものの、それまでの地域相場からは上がってしまったからでしょう。

 

一方は価格が上がっても売れ行き好調、他方は価格が上がって売れ行き不振。この差は何に起因しているのでしょうか

 

もち論、都心部でも時間がかかっている物件はありますし、郊外でも比較的好調な物件もあるので、これらを十把一絡げにしては語れませんが、敢えて言えば「二極化」と言えそうです。

 

物件ごとに価格を比較したり、過去5年くらいの地域の動向を見たり、そして販売状況をチェックしたりを日課のように繰り返していると、マクロとミクロの両眼が発達するのでしょうか、いろいろな現象とその裏に潜む問題点などが浮かび上がって見えます。

 

今日お伝えしたいのは、「バブル再燃の危機感」です。

 

●価格が上がっても、需要を超える供給がなければ売れ行きは落ちない

新築マンションの供給戸数はひところの半分に減りましたから、価格上昇によって手が出ない人が減っても金持ち需要とバランスするので、市況は表面的には悪化しません。

 

契約率が低下している最近2年ではありますが、極端なマンション不況に陥らず、業界の命脈が保たれている要因は、供給戸数が減ったことにあるのです。

 

金持ち需要という言葉を使いましたが、この中には一般サラリーマンが多数含まれます。会社経営者や医師などの富裕層以外に資金力のある会社員が増えているからです。

 

正規雇用の妻と夫の共稼ぎ世帯が増え、その世帯年収は驚くほど高いのです。筆者も多数そのような世帯、いわゆる「パワーカップル」にお会いし、その年収と勤務先をお聞きする機会がありますが、本当にびっくりします。

 

ある人は奥さんの給与に一切手を付けず5年間で貯めたという頭金が2000万円と言っていました。年収は二人で1200万円というのです。別のカップルは夫1200万円、妻700万円、また夫800万円、妻1000万円という年収カップルもありました。

 

一人当たりの賃金がもう20年近く上がっていないといった統計がよく登場しますが、筆者の感覚では世帯年収は伸びているのです。その研究をしているシンクタンクのデータは全国をまとめたものなので、顕著な数字の変化は発見できませんが、数%の世帯だけでも収入増の家庭があればマンション販売には十分なのです。その理由はこうです。

 

新築マンションの年間契約戸数は最近5年、23区全体では約15,000戸です。23区のマンションを買う人の住所が全て23区内とは限りませんが、大半は23区に住んでいます。15,000戸の契約者、すなわち15,000世帯は23区の世帯数(約450万)に対して0.3%に過ぎません。

 

持ち家の人が買い替える場合もあり、賃貸から初めてマンションを買う場合もありますから、それらをまとめて0.3%の世帯の購買力が価格に届けばいいことになるのです。

 

契約率が大きく低下しそうで低下しない状況が続いているのは、この僅か0.3%の世帯が高値にも手が届く購買力を備えているためと考えられるのです。

 

もちろん、頭金がたくさんある、世帯年収が高いというだけでなく、2016年2月に実施された日銀のマイナス金利政策のおかげで住宅ローン金利が一段と低下したこと、これが購買力を押し上げた側面もります。

 

●「買えるから買う・買うから上がる」というのはバブルの兆候そのもの

1980年代後半、株式や不動産・マンションは「上がるから買う、買うから上がる」という循環をもたらし、永遠に右肩上がりの繁栄が続くとの錯誤をもたらしました。

これがバブルでした。バブル(泡)はやがて破裂しました。それ以来、25年以上もの長い間、日本は景気後退とデフレに悩まされて来ました。

 

2013~2015年頃にも、ミニバブル発生かと話題になった時がありました。右肩上がりが続いた株価の上昇などで資産効果の恩恵に浴した富裕層や、一足早く好調な経営を回復した一部の大企業などに所属する人たちがマンション購入に積極的になったときでした。さらに、一部の都心物件で外国人投資家の買いが増えていると伝わって来たときです。

 

2015年に税率が上がった相続税対策としてタワーマンションの高層階を狙って購入する資産家の動きも目立っていました。

 

オリンピック開催が決定した2013年秋以降、会場周辺地域では、高い人気を集めるマンションが増え、局地的な価格急騰が発生しました。また、「国家戦略特区」に選ばれた地域でも、同様の傾向が見られたのです。

 

バブル経済は、投資家が売買に加わることによって取引商品に実質価値以上の値段が付くことを意味しますが、一部の先導者がリードして起こるバブルが一般消費者にも影響を及ぼすところに問題があるのです。

 

●「バブル前夜」かも?

バブル後の苦い経験を知っている国民が多数健在の中、再びバブルが起こるとは考えにくいのですが、それでも筆者は危険な匂いを感じています。

 

マンション価格は、まだ上がるのか?その上がった価格でも買えてしまう富裕層・パワーカップルの増加はデベロッパーの強気を後押ししてしまうのではないか?実力以上の価格でも「駅前マンションなら売れる」などとデベロッパーを信じこませるのではないか? 価格が下がらないどころか、毎月のように上昇統計がニュースになる。それを見た買い手は、買い出動し、買い急ぐ。まさにバブル時代に起きた悪循環「上がるから買う。買うから上がる」のトレンドに今あるような気がするのです。

 

まさかと思いつつも、そんな疑念が排除できないでいます。

 

相変わらず売れない郊外マンション、苦戦するバス便マンションなども抱えている現状が好転するとは思えないので、売れ行きは二極分化となり、全体的なバブルにはならないでしょうが、局所バブルにはまってしまう人もあるだろうなと危惧しています。

 

別の言い方をします。高値つかみ」に要注意です

 

特に「価値ある駅前マンション」にはその価値以上の値が付いているものもあることを知ってほしいですね。再開発は街を発展させるので、値上がりが期待できると信じがちですが、既に発展後の価値を織り込み済みの価格になっている物件もあるので注意しなければなりません。

 

高値掴みしてしまうと、何年待っても値が上がらない、下がりっぱなしということもあるのです。

 

・・・・・今日はここまでです。ご購読ありがとうございました。ご質問・ご相談は「無料相談」のできる三井健太のマンション相談室(http://www.syuppanservice.com)までお気軽にどうぞ。

 

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